有限会社

 会社に対し原則として出資金額を限度とする有限責任を負うのみで、会社債権者に対し、なんら直接の責任を負わない社員のみで構成される会社。
 これは、株式会社の有限責任という長所と、合名会社の人的信頼関係という長所とを統合させたもので、物的会社に人的要素を加味した形態である。
 社員の総数は50人以下に制限され、出資一口の金額は5万円以上で、均一とし、資本総額は300万円以上でなければならない。社員を一般公衆から募集することは許されず、社員の持分を有価証券化することも禁止されている。
 社員は、会社財産の充実をはかるための特殊な責任(設立当時の社員の財産価格填補責任・出資填補責任、社員の財産価格填補責任、取締役等の純資産額店舗責任など)を除いては、原則として会社債権者に対し、直接に責任を負わず、会社に対する有限責任しか負わない。
 それに対応して、社員は原則として業務執行権をもたず、業務執行は社員の選出した取締役にまかされる。また、株式会社のように取締役会と代表取締役は分化しておらず、定款または社員総会で特別の定めをしない限り、各取締役が代表権をもつ。
 社員の持分の譲渡は制限され、社員以外の者に譲渡しようとするときは、社員総会の承認を求めることが必要である。その場合、会社は譲受人を指定することができる。

株式会社

 社員が会社に対し、各人のもつ株式の引受価額を限度とする、有限の出資義務を負うだけで、会社債権者に対してなんら責任を負わない会社。
 この株主有限責任の結果として、会社債権者にとって担保となるのは会社財産だけである。そのため、会社財産を確保するための基準として一定の金額、すなわち資本を定めている。株式会社制度は、大衆の投資を吸収して大企業を行うのに便利な形態であり、物的会社(会社の財産に重きがおかれ、社員と会社および社員相互間の希薄な会社)の典型である。
 株主の個性が問題とならないから、その株式譲渡は許されてよいし、また株主の投下資本の回収方法としても、原則として株式譲渡の自由が保障されている。
 他方、株式の譲渡が自由であれば、会社荒し(株主の権利を濫用して不当な利益を得ようとする者「たとえば、ある会社の株式を取得してその会社に金品を要求し、拒まれると総会の議事の進行を妨害、もし要求が通れば、他の株主の発言を封じて議事進行に力を貸すなどする」。株主総会における発言を利用するので、総会荒し、総会屋と呼ばれることがある)などによって会社の安定性が害されることがあるため、定款に、株式を譲渡するには取締役会の承認を要する、との規定を設けて譲渡制限をすることができるようにした。
 株式会社は企業の所有と経営の分離という企業形態を予定していることに対応して、取締役会が会社の業務執行に関する意思を決定し、代表取締役が具体的な執行をし、会社を代表することになる。
 株主は会社の基本的事項、取締役の選任など法律または定款で定められた基本的な事項について決議することができるにすぎない。その結果、会社の運営が適正を欠き株主の利益が侵害される場合には、取締役の解任など各種訴訟の提起による監督是正権が認められている。